厨房への業務用エアコン設置は注意が必要
厨房や店内のエアコンがすぐに不調になる原因は”油”かも!?定期的なメンテナンスをしないと耐用年数はガクッと下がります。
飲食店の中でも、厨房に業務用エアコンを設置する場合には注意が必要です。焼き鳥店やオープンキッチンのような、カウンターと厨房が隣接している店内や、焼き肉店などのような煙が充満することのある店内のエアコンも注意が必要です。なぜ厨房での使用には注意が必要かというと一番の原因は”油”です
近年はエアコンの性能が向上し耐用年数も格段に上がりました。しかしながらそれは定期的なメンテナンスやシッカリと配慮された環境下で使用された場合の話です。
エアコンにはフィルターがついていますが、換気扇とは異なるため油分を豊富に含んだ空気を処理できるようには設計されていません。
どういった部分を注意しなければいけないのか、そういった環境下での適したエアコンはどれか、レポートします。
故障につながる原因
最大の原因は油分を含んだ空気
調理をする場所ではどうしても油を含んだ空気が充満します。それをエアコンが長年吸い込み続けると、エアコンの内側も油で浸食されてきます。多くの業務用エアコンの場合内外を覆う素材はプラスチックで出来ているので、それらが油分と化学変化を起こし、割れてしまうケースもよくあります。
高温による変形や異常の発生
業務用エアコンはほとんどがプラスチックで覆われています。そのため、熱には強いとは言えないのです。
蒸気によるサビ
厨房と言えば、オフィスなどの執務室以上に蒸気や高湿度にさらされる状況下です。そのため強烈な蒸気を長時間浴びたりすると内部まで蒸気が入り込み最悪の場合基板に影響を及ぼしたり、思わずサビを誘発することになります。
飲食店(特に厨房)などに適した業務用エアコン
ステンレス製の業務用エアコンがベスト
良い点:専用に設計されているので高耐久
耐油性や耐食性・耐錆性を考慮すると、ステンレス製のものがベストでしょう。ステンレス製であれば油が付着してもプラスチックのように化学反応を起こすこともないですし、拭き掃除も比較的楽にできます。
悪い点:種類が少ない
強いて悪い点を挙げるなら、「種類が少ない」実に「少ない」。各社からでているのはわずか数点になり、厨房なのでお客様の目を気にしないと言えばそれまでですが、好みに合ったものや設置場所の雰囲気に合わせてチョイスするということは困難でしょう。
業務用エアコンの特徴
DAIKINさんをはじめ、東芝さまや三菱電気さま、日立さまなど各社から数点の厨房向きエアコンが発売されていますが、特徴を挙げるとすれば大きく3つあります。
専用設計のため高耐久
厳し環境下にさらされる外装は油分に強いステンレスで作られていることがほとんどです。また高温・多湿にも耐えられるよう設計されているので通常の業務用エアコンを設置するよりも遙かに長期利用が見込めるでしょう。
専用フィルターで油分をカットし内部を守れる
油分を含んだ空気を「オイルミスト」と呼びますが、それらをカットする仕組みが導入されています。具体的な例を挙げると、DAIKINさんや東芝さんの業務用エアコンでは使い捨ての「オイルミストフィルター」が導入されていたり、三菱重工さんでは着脱可能なアルミ製のフィルターを導入しています。アルミ製のフィルターを使うメリットは熱湯で洗浄ができるのでこびりついた油を効率的に洗浄できるという点でしょう。
設置環境に配慮された細かな仕様
濡れた手で操作しても大丈夫なリモコン!
厨房では洗い物などで水と隣り合わせな状況。そんな状況まで配慮されているのはさすがです。
一部だけに風を送るスポット吹き出し機能!
一部の送風口シャッターを開け閉めすることで一部のスポットへ風を送ることが出来る仕様です。ガスコンロや火を使う場所に向けて強く当てて、サラダなどを作る場所へは弱めに風を当てるということも可能になるのでありがたい機能です。
各社の厨房向き業務用エアコンの比較
DAIKIN(ダイキン)
- メンテナンスが便利なステンレス製
- 省スペースでも設置可能
- 吸込み空気温度は最高45度(冷房時)
- 衛生面に配慮され抗菌加工されたドレンパンやフィルター
TOSHIBA(東芝)
- 高耐久性のステンレス素材を使用
- 使い捨てオイルミストフィルターのため掃除の手間がない
- スポット冷房への対応も可能
MITSUBISHI(三菱電機)
- ステンレスボディを採用し長期利用が可能
- 分解可能なファンケーシング採用で清掃がかなり楽
- 使い捨てオイルミストフィルターで省メンテナンス
- オプションで外気を取り入れる空調設備も設置可能
HITACHI(日立)
- オイルミストに強いステンレス素材で構成されている
- スポットクリーニング対応可能
- 濡れた手で操作可能なリモコン
- 高性能オイルミストフィルター
三菱重工
- 再利用可能なアルミ製フィルターで経済的
- 送風口のシャッターを利用することでスポット送風が可能
製品の選び方
設置場所の状況次第でベストな製品は変わる
この一言に尽きます。
極端な話、小規模なカウンターだけの小料理屋であればちょっと大きめの厨房向けエアコンだけで客席までまかなえてしまうかも知れません。東北などの寒い地域であれば、ちょっと多めの馬力を必要としますし、どういった使い方をするのか、設置環境はどうなのか、そういったものでベストな製品は変わってくるので一番は業者さんとよく相談することです。
メーカーは基本的に自社の製品しか教えてくれない
エアコンの専門家と言えばエアコン屋さんです。でもエアコン業者といえども全国に星の数ほどあり、どこに声をかければ良いのかわかりませんよね。そこで思い浮かぶのが、製造元であるメーカーに直接問い合わせる事です。製造元なので製品の事はどの企業よりも熟知しています。
しかし、お客さんはいろいろな要望があり、それに見合った製品をそのメーカーが必ずしも持っているとは限りません。もちろん要望に見合ったスペックの製品があることも多々ありますし、そういったケースの方が多いかもしれません。
しかしなかった時は、そのメーカーにある製品で妥協するか、もしくはよく分からないまま、営業マンの言うとおりに要望とは違うものを導入することになったというケースもあります。
要望に見合うものがなかったら、再び別のメーカーに問い合わせて同じ話の繰り返しになるので、なかなか大変な作業になってしまいます。。。
メーカー以外の業者は、メーカーに関係なく提案してくれる
メーカーではないエアコンの専門業者は各メーカーにこだわることなく、お客さんの要望に合った製品を提案してくれます。
例えば、「A社の厨房用エアコンはココがデメリットですが、B社のこれならそれをカバーしてくれます。デメリットもありますが、今回のケースなら、そこは気にならないですよ」
といった具合です。
「どうしてもこのメーカーの製品を導入したいんだ!!!」
という要望でない限りは、メーカー以外の専門業者に話を聞く方がいいでしょう。
まとめ
もちろんメーカーに問い合わせるメリットはたくさんあります。製品のことを隅から隅まで教えてくれるでしょうし、良い提案をくれるケースもたくさん聞きます。もしエアコンの選定をするときは可能な限り複数の企業から話を聞くことをオススメいたします。